日本人のローマ字表記は苗字が先?名前が先?

名前の書き順が「名字→名前」の国において、アルファベット表記で逆の「名前→名字」の順になるのは日本だけのようなのでニュースなどを観てみると成程、英字新聞などでは日本人を「名前→名字」で書くけど朴槿恵など韓国や中国人のなまえは「名字→名前」のままPark Geun-hye。

そこで色々調べてみたら・・・

文化庁の国語審議会の答申によれば

Ⅲ 国際化に伴うその他の日本語の問題

2 姓名のローマ字表記の問題

(2)姓名のローマ字表記についての考え方

 世界の人々の名前の形式は,「名-姓」のもの,「姓-名」のもの,「名」のみのもの,自分の「名」と親の「名」を並べて個人の名称とするものなど多様であり,それぞれが使われる社会の文化や歴史を背景として成立したものである。世界の中で,日本のほか,中国,韓国,ベトナムなどアジアの数か国と,欧米ではハンガリーで「姓-名」の形式が用いられている。
国際交流の機会の拡大に伴い,異なる国の人同士が姓名を紹介し合う機会は増大しつつあると考えられる。また,先に記したように,現在では英語が世界の共通語として情報交流を担う機能を果たしつつあり,それに伴って各国の人名を英文の中にローマ字で書き表すことが増えていくと考えられる。国語審議会としては,人類の持つ言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくべきであるという立場から,そのような際に,一定の書式に従って書かれる名簿や書類などは別として,一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと考える。
 したがって,日本人の姓名については,ローマ字表記においても「姓-名」の順(例えばYamada Haruo)とすることが望ましい。なお,従来の慣習に基づく誤解を防くために,姓をすべて大文字とする(YAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で,「姓-名」の構造を示すことも考えられよう。
 今後,官公庁や報道機関等において,日本人の姓名をローマ字で表記する場合,並びに学校教育における英語等の指導においても,以上の趣旨が生かされることを希望する

未だに「名→姓」が多いためかYoutubeなどでローマ字で「姓→名前」って入力したら「名→姓」の順で表示されてしまったという・・・

同じく国立国語研究所のことばQ&Aによれば

ローマ字表記での姓名の順は,今まで「姓―名」と「名―姓」の両方が使われてきました。例えば,パスポートでは「姓―名」(全部大文字)の順です。諸外国の日本文学研究で「夏目漱石」といった文学者名を引用する場合,「Natsume Soseki」のように「姓―名」の順が一般的です。一方,ビジネスの世界で使われる名刺では,「名―姓」の順を使う人が多いようです。また,データベースなどで氏名をソート(五十音順などに並び替えること)するときに,ローマ字表記を振ったりすることがありますが,このようなときは,「姓―名」だったり「名―姓」だったりします。

名刺やパスポートは,相手に理解してもらうためのコミュニケーションの道具です。このようなものに氏名をローマ字表記するのは,主として日本人を想定したものではありません。ですから,ローマ字表記での「姓―名」の順の問題は,「姓―名」の表し方についての相手の文化や社会の事情などに配慮する必要があります。欧米などのように自分の氏名を「名―姓」の順で表すことが一般的な国もあれば,韓国や中国などのように「姓―名」の順の国もあります。また,これまで多くの日本人がローマ字表記で「名―姓」を使ってきたという慣習がありますので,この慣習を理解してきた相手への配慮も必要です。

このような状況を踏まえて,第22期国語審議会では,ローマ字表記での姓名の順の問題を取り上げました。「国際社会に対応する日本語の在り方(案)」(2000年12月)では,言語や文化の多様性を人類全体が意識し,生かしていくべきであるという立場から,一般的には各々の人名固有の形式が生きる形で紹介・記述されることが望ましいと述べられています。そして,日本人のローマ字による姓名の表し方は,「姓―名」の順(例えばYamada Haruo)とすることが望ましいとしています。ただし,これまでの慣習を急に変えることで相手が誤解する恐れがある場合は,姓をすべて大文字とする(例えばYAMADA Haruo),姓と名の間にコンマを打つ(Yamada,Haruo)などの方法で,「姓―名」の構造を示すといった配慮が必要であるとしています。

因みにハンガリーやルーマニアのように東欧圏でも「姓→名」の国があります。
日本国内では一昔前までベラ・バルトークという名前だったのがいつの間にかバルトーク・ベラとなっていた人がいます。勿論姓はバルトークで有名な近代の作曲家です。

参考まで、日本サッカー協会(JFA)によれば

日本人名のローマ字表記について

公益財団法人 日本サッカー協会(以下、JFA)では、2012年度(4月1日)より、日本人名のローマ字表記順を原則として「姓-名順」に統一していくことになりましたのでお知らせいたします。
JFAとしては、これまでローマ字表記について特に明文化された規定はなく、現在日本で一般的となっている「名-姓順」が使用されているケースが大半でした。世界のグローバリズム化が進む中、JFAとして個性が顕著に表れる「名前」において、日本人固有の表記順(姓-名)で、世界へアピールしていきたいという考えのもと、この度表記を統一することになりました。
今後は、各都道府県サッカー協会や各連盟にも協力を仰ぎ、公式文書や試合記録、職員の名刺等、対応可能なものより順次採用していく予定です。

表記例

<名-姓順> Junji Ogura

<姓-名順> OGURA Junji
※今回の統一に合わせ、これまでの慣習による誤解を避けるため、苗字はすべて大文字で表記します。
※ただし、すでに一定の書式に基づいて作成されている書類やシステムについては、それに倣います。

おまけ:
Link: パスポートの氏名表記はなぜローマ字か、日本字表記は可能か
Link: パスポートの氏名翻字規則

なるほどねえ・・・・
でもローマ字を名乗る以上、外務省はローマ字(ラテン語式あるいはイタリア語式)の表示をスべきかと(笑)
「ローマ字」ではなく「アルファベット表記」と言い換えるほうが良さげだけど。

大体外務省がヘボン式を導入してるのがおかしい。
国が訓令式を採用している以上、訓令式で統一されるべきと思う。

例=安倍晋三
ヘボン式:Abe Shinzo
訓令式:Abe Sinzou または Abe Shinzô

ちなみに私が書くときは・・・ Abe Shinzō

学校では長母音を Abe Shinzô のように教えるけど、この記号は西洋ではアクセント記号の一つであって長音記号ではありません。外人が誤解するので使うべきではないと思います。