大辞泉:間違った意味で使われる言葉ランキング

小学館の大辞泉編集部が「間違った意味で使われる言葉ランキング」というものを先日発表。
私も自分なりに検証してみました。
太字は私が実際に使っているほうです。

大辞泉(Digital Daijisen)10月17日
10月16日の「辞書の日」を記念して、『大辞泉』編集部では1200名の方々へのアンケートを実施。「間違った意味で使われる言葉ランキング」と「言い間違いされる言葉ランキング」を集計しました。

【間違った意味で使われる言葉ランキング】

1位【ハッカー】77.4%
誤・コンピューターに侵入し不正行為を行う人
正・コンピューターやインターネットに詳しい人

2位【確信犯】73.0%
誤・悪いこととわかっていながらする犯罪
正・信念に基づいて「正しいことだ」と思い込んでする犯罪

3位【他力本願】68.8%
誤・自分で努力するのでなく、他人からの助けに期待すること
正・自らの修行などによって悟りを得るのでなく、仏の力によって救済されること

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4位【破天荒】
誤・豪快で大胆不敵なようす
正・だれも成し得なかったことをすること

5位【姑息】
誤・ひきょうであるさま
正・一時しのぎであるさま

6位【失笑】
誤・笑いも出ないくらいあきれる
正・思わず笑い出す

7位【敷居が高い】
誤・高級すぎたり上品すぎたりして、入りにくい
正・相手に不義理などがあって、その人の家に行きにくい

8位【(話の)さわり】
誤・話の最初の部分
正・話の要点

9位【なしくずし】
誤・物事があいまいなまま進んでいくこと
正・物事を少しずつ片付けていくこと。徐々に物事を行うこと

10位【悪びれる】
誤・虚勢を張って、悪事を働いても悪いとは思わない態度をとる
正・恥ずかしがったり卑屈な態度をとる

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第1位の「ハッカー」には、本来、コンピューターで不正行為をする人という意味はありません。そういう意味の言葉「クラッカー」と混同されているのでしょう。しかし、新聞・テレビの報道などでも、悪い意味で「ハッカー」が使われている例が見受けられます。2つの言葉の知名度・浸透度の差から、分かりやすさを重視して、あえて「ハッカー」を使うケースも考えられます。新しいだけに、意味の変化が起きやすい言葉なのかもしれません。

〈大〉

同様に・・・・

大辞泉(Digital Daijisen)10月18日
昨日に引き続き、「辞書の日(10月16日)」記念の、『大辞泉』編集部による1200人アンケートの結果をお伝えします。本日は……

【言い間違いされる言葉ランキング】

1位【間が持てない】を68.3%が
誤・【間が持たない】と言ってしまうと回答。
意味「途切れがちの会話などを、うまくつなぐことができない」

2位【声をあららげる】を63.9%が
誤・【声をあらげる】と言ってしまうと回答
意味「激しい語気の声を出す」

3位【足をすくう】を61.3%が
誤・【足もとをすくう】と言ってしまうと回答。
意味「相手のすきをついて失敗させる」

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4位【采配を振る】
誤・【采配を振るう】
意味「陣頭に立って指図をする。指揮する」

5位【怒り心頭に発する】
誤・【怒り心頭に達する】
意味「激しく怒る」

6位【押しも押されもせぬ】
誤・【押しも押されぬ】
意味「どこへ出ても圧倒されることがない。実力があって堂々としている」

7位【熱に浮かされる】
誤・【熱にうなされる】
意味「病気で高熱のためにうわごとを言う。前後を忘れて夢中になる」

8位【上には上がある】
誤・【上には上がいる】
意味「最高に優れていると思っても、さらに優れたものがある」

9位【愛嬌を振りまく】
誤・【愛想を振りまく】
意味「相手を喜ばせるような振る舞いをする」

10位【触手を伸ばす】
誤・【食指を伸ばす】
意味「欲しいものを得ようとして働きかける」

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ここで「間違い」として示した言い回しも、慣用的な言い回しに対して「本来の形でない」ということであって、一般的な会話などで使うぶんには、必ずしも「間違い」とは言い切れません。まず、それをお断りしておきます。
      ◇      ◇
第1位の【間が持てない→間が持たない】の変化は、場の雰囲気・空気のような「間」というものが、あたかもみずから「持つ」「持たない」を決定づける主体になっているように感じられます。
      ◇      ◇
第2位の【あららげる】は、漢字で書くと【荒(あら)らげる】となります。一方、「あらす」は「荒(あ)らす」と書くので、その影響もあって、言いやすい【あらげる】が多く使われるようになったのかもしれません。

〈大〉

随分と間違っているようです(ーー;)
更に・・・

大辞泉(Digital Daijisen)10月19日
【世代間で意味が違う言葉ランキング】

『大辞泉』編集部による1200人アンケートの結果発表第3弾は、これです。どの言葉においても、本来の意味(A)として使っているのは「60代以上」が最も多く、おおむね、若い世代ほど本来とは異なる意味(B)で使っているという傾向が出ました。

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1位【煮詰まる】
A「十分に論議して、結論が出る段階に近づく」
B「行きづまって結論が出せない状態になる」
60代=77.1%がAの意味で使用。
20代=25.5%がAの意味で使用。

2位【世間ずれ】
A「世間を渡ってきてずる賢くなること」
B「世間の考えから外れていること」
60代=71.3%がAの意味で使用。
20代=22.2%がAの意味で使用。

3位【敷居が高い】
A「相手に不義理などがあって、その人の家に行きにくい」
B「高級すぎたり、上品すぎたりして入りにくい」
60代=59.3%がAの意味で使用。
20代=12.2%がAの意味で使用。

4位【思い余る】
A「さんざん思い悩んで、どうにも考えが決まらなくなる」
B「伝えたいことが多すぎて、逆にうまく伝えることができなくなる」
60代=82.1%がAの意味で使用。
10代=43.4%がAの意味で使用。

5位【思い余る】
A「不安や恐れで落ち着きを失う。逃げ腰になる」
B「うきうきして落ち着かなくなる」
60代=70.7%がAの意味で使用。
10代=34.9%がAの意味で使用。

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第1位の【煮詰まる】には「煮え詰まる」という言い方もあり、幸田露伴が1900年ごろにAの意味で使った例があります。Bの意味では、1950年ごろから使用例がありますが、本来は誤用で、2000年ごろ以降に広まってきているようです。
     ◇     ◇
第2位の【世間ずれ】の「ずれ」は「擦(す)れる」ことで、世間にもまれて擦れるぶん、ずる賢くなるということです。Bは「標準や基準から少し外れる」という意味の「ずれる」(漢字はありません)から連想された誤用でしょう。
     ◇     ◇
この2つと第3位の【敷居が高い】は、10代の方が20代より、わずかながら正解率が高いという結果でした。現役の学生として、学校教育を受けている真っ最中の方が多いからかもしれませんね。

〈大〉

大辞泉(Digital Daijisen)10月20日
【世代間で言い方が違う言葉ランキング】

『大辞泉』編集部による1200人アンケートの結果発表、最終回はこれです。ある意味を表現するのに、本来の言い回し(A)を使うか、違った言い回し(B)を使っているかの世代間の比較です。このランキングでも多くの場合、年配者の方が本来の言い回しをよくご存じでした。

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1位
「最高に優れていると思っても、さらに優れたものがある」という意味を表現するときに、
A【上には上がある】
B【上には上がいる】
60代=82.1%がAを使用。
10代=43.4%がAを使用。

2位
「目上の人に評価される。気に入られる」という意味を表現するときに、
A【お眼鏡にかなう】
B【お目にかなう】
40代=78.0%がAを使用。
10代=49.2%がAを使用。

3位
「ひっきりなしに続くさま」という意味を表現するときに、
A【のべつまくなし】
B【のべつくまなし】
60代=76.9%がAを使用。
20代=48.2%がAを使用。

4位
「追いかけたり、追いかけられたり」という意味を表現するときに、
A【追いつ追われつ】
B【追いつ抜かれつ】
60代=86.9%がAを使用。
20代=58.7%がAを使用。

5位
「途切れがちな会話などを、うまくつなぐことができない」という意味を表現するときに、
A【間が持てない】
B【間が持たない】
60代=38.1%がAを使用。
30代=7.5%がAを使用。

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第1位の【上には上がある】を【…いる】にしてしまうと、人や動物のみを比較する言葉になってしまいます。わざわざ意味を狭めてしまう使い方が広がりつつあるようです。米国の人気アニメ『トムとジェリー』シリーズの第1作『Puss get the boot』(直訳すると「ネコちゃんお払い箱になる」)は、日本では1964年以降『上には上がある』という邦題でテレビ放映されています。当時はしっかりと【…ある】が根付いていたんですね。
     ◇     ◇
第2位の【お眼鏡にかなう】の「眼鏡」は「物の善悪・可否を見極めること。また、その能力」という意味です。それを「目」に置き換える人が増えているのは、コンタクトレンズの普及によるものなのでしょうか? そこまでは『大辞泉』編集部も調べきれていませんが、興味深い変化ですね。

〈大〉

「のべつまくなし」という言葉は知りませんでしたΣ( ̄□ ̄;)
私の国語力はこの程度です・・・