12年前の宮崎正弘氏の苦言

宮崎氏が12年前に書いたメルマガの記事を読んで愕然と。
氏が書いた内容は現在も議論されていて、今回の安倍政権でやっとスタートラインに立てるかどうかという始末。

ダラダラと無為に歳月だけ無駄に消費する日本の政治は何とかならないのでしょうか。

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」平成13年(2001)9月20日 通巻192号より

ペルーにおける過激派テロの教訓

フジモリの決断を思い出す
 
 フジモリ大統領時代のペルーで、日本大使公邸がゲリラに襲われた事件は、日本の安全保障の根幹を考える上で実に様々な教訓を与えてくれた。
 今度の「米国中枢同時多発テロ」に、しかしながら日本の危機管理当局は、あのときのペルーでの教訓をまったく生かしきっていない。
  
第一にテロリストにとっては、日本をねらうと欧米諸国を相手にするのとは別の旨味がある。日本が武力で反撃してくることは皆無、だからやすやすと身代金をせしめることができる上に、それもかれらにとって望外の天文学的な金額となる
 
第二に、日本政府やマスコミの右往左往ぶりもまた、彼らの思うつぼなのだ。テロリストの政治プロパガンダの道具として利用価値が高いからだ。
 今度のビンラディーン一派は、そのうちマスコミ操作戦術にでてくるであろう。
 (すでに報復反対の意見があちこちにあがっている)

第三に、日本を相手にすれば、日本の反撃はたかがしれており、正規軍の物理的暴力ばかりか、多国籍軍を編成することもなければ他国の軍を雇用しての報復も、まず受ける恐れがない
すぐに特殊部隊を配置して、妥協はしないと結束を固める国と違って、テロリストの言い分をご無理ごもっともと聞き入れる日本はまさに「美味しいビジネスの標的」(ウォールストリート・ジャーナル)なのである。
 
いずれ米国のデルタフォースとはいかないまでも、イスラエルやドイツ程度の報復戦力を保持することが「テロの抑止力」になるという議論が起こるだろう。またそういうまっとうな議論が起きてこなければ不思議である。

やっと安倍政権が自衛隊の国軍化、集団的自衛権の保持、海上保安庁及び自衛隊の強化、PKO(国連平和維持軍)への自衛隊の参加などを提案しています。ペルーのテロ事件から10数年かかりました。

「十年一昔」という表現がありますが、私の学生時代は「五年一昔」、今は「三年一昔」?
ということは、宮崎氏のこの記事は12年前なので四昔(ーー;)
長くかかりましたねぇ・・・

 ところがサリン事件が発生した日本で、何の対策もとられていない。病院においてある毒物、化学剤、コバルトなどサリンに類する疑似核兵器にいつでも化ける材料が杜撰な管理で大量に保管されている。あの大量テロルのあと、中和剤、解毒剤を大量輸送機関や駅、緊急病院に備えるようになっただろうか? 防犯カメラは?

麻酔に使うモルヒネなどの麻薬も病院から流出しているという噂も?

 かつてペルー人質事件の時、外務省に設置されたペルーの対策本部に橋本首相がパンを差し入れて激励し、池田外相も現地へ飛んだ。パフォーマンスもある種の効果がないわけではないが、もっと大事な大本が抜けている。
神戸大震災の教訓があったにもかかわらず、この対策本部へ防衛庁長官がメンバーとして参画したのは、実に事件発生から十一日目。自衛隊からエキスパートがペルーに飛んだのは、さらにその翌日になった。

 決断を要する緊急時に、迅速に適切な対応を持って臨めないのは、日本列島の平和ぼけがいかに重傷であるかの証左であろう。
そのビョウキはいまも、これほどの危機に瀕していながら何一つ直っていなかった。
自立判断ができない国は、もはや滅びるしかあるまい。

テロ事件などの緊急時は、首相ではなく警察組織、つまり自衛隊や諜報機関が真っ先に動くべきです。
政治家が先に動くのは日本だけでしょう。