財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定から転載。
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(ざいさんおよびせいきゅうにかんするもんだいのかいけつならびにけいざいきょうりょくにかんするにほんこくとだいかんみんこくとのあいだの協定)とは、1965年に日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約と同時に締結された付随協約のひとつ。日韓請求権並びに経済協力協定。
概要
この協定に基づき、「日韓間の両国間及び国民間の請求権に関する問題は完全かつ最終的に解決されていること」が確認された。この協定において、当時世界最貧国のひとつであった韓国に対して、日本は国交と同時に合計5億米ドル(無償3億米ドル、有償2億米ドル)及び民間融資3億米ドルの経済協力支援を行った。当時の韓国の国家予算は3.5億米ドル程度、日本の外貨準備額は18億米ドルであったことから、その額の膨大さが推し量れる。この経済協力金を基として、ダムや高速道路を整備した韓国は漢江の奇跡を成し遂げた。
日本側は日韓基本条約の交渉の過程で、韓国人への個人補償を日本政府が行うことを提案していたが、韓国側は拒否した。このため韓国政府が一括で経済協力金を受け取り、韓国政府が個人補償を行うということで両国間の合意がなされたが、実際には個人補償は非常に小さい規模でのみ行われ、経済協力金の大半は前述したように韓国のインフラ整備に費やされた。この交渉過程について韓国政府は2005年になってから公表したが、当時の状況からやむを得ないという意見と、個人の権利を蔑ろにしたものであるという意見に韓国国内世論は分かれている。
2009年8月14日、ソウル行政裁判所は、大韓民国外交通商部が裁判所に提出した書面に日本に動員された者の賃金は請求権協定を通じて、日本から無償で受け取った3億ドルに含まれていると記述されていることを明らかにしている。韓国政府は、条約締結時から韓国民に条約内容を伏せており、公式見解が明らかになったのは初めてである。韓国・朝鮮人は日本政府に補償を求め続けているが、対日請求権資金をすでに受け取っている韓国政府に補償を求めなければならないことも明らかになった。なお、日本政府は条約締結以前の1946年に企業に対して朝鮮人に対する未払い額を供託するよう指示を行っており、朝鮮人への補償を積極的に行おうとしていた。
2010年3月15日、韓国政府は慰安婦、サハリン残留韓国人、韓国人原爆被害者については対象外だとして「日本政府の法的責任を追及し、誠意ある措置を取るよう促している」と発表した。
同年3月17日、日本政府は再度「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定により、両国間における請求権は、完全かつ最終的に解決されている」との見解を発表した。