売国奴・野中広務元官房長官

野中広務氏の発言に関するニュースをサーチナと産経新聞から転載。

尖閣棚上げ…「田中首相に聞いた。私が生き証人」=野中広務氏

【政治ニュース】 2013/06/04(火) 15:26

  中国新聞社など中国メディアは4日付で、北京市内で3日に中国共産党中央書記処の劉雲山書記と会談した野中広務元官房長官が、日中国交正常化時に両国の指導者が尖閣諸島の問題を棚上げにするとの共通認識を持っていたと述べたと報じた。野中氏は「私は生き証人だ」などとも話したという。

  野中氏は超党派の国会議員・元国会議員を率いて訪中した。3日に会談した劉雲山書記は中国共産党内で序列5位。野中元官房長官の発言は、極めて大きな「重み」を持つことになる。

  野中氏は会談後、記者団に対して「田中角栄元首相から『尖閣諸島の問題を棚上げにして両国関係を正常化することに決めた』と聞いた」、「私は生き証人として、(このことを)世間に知らせる」と述べたという(いずれも中国語報道からの日本語訳)。

  中国側では人民解放軍の戚建国副総参謀長が2日、シンガポールで同日まで開催されたアジア安全保障会議「シャングリラ対話」で尖閣諸島の問題にふれ、、「中国側は、問題を解決を後世の人にまかせるという態度を堅持している」、「20年前にトウ小平同志が、政治的知恵をもって争いを棚上げにした」と述べた。

  尖閣諸島の問題について中国は2009年に同島周辺海域で発生した「中国漁船衝突事件」以降、とりわけ強硬な言動を示すようになった。特に、石原慎太郎都知事(当時)が打ち出した都としての購入構想や、野田内閣による、尖閣諸島の魚釣島、南小島、北小島の国有地化すると、中国では日系関連の商店、工場、日本車に乗っていた中国人を襲撃する反日運動も発生した。

  中国政府も、違法な騒擾(そうじょう)は取り締まる方針を明らかにしたが、政府としては日本非難を続行した。国際的に尖閣諸島について「日清戦争の結果、台湾の一部として奪い取られた。第二次世界大戦を終結させるあたり日本が受け入れた条件にもとづき、中国に返還されるべき」との宣伝攻勢も強化した。

  しかし、人民解放軍の戚建国副総参謀長の2日の発言では一転して、「棚上げ続行」とトーンを変えた。さらに、野中氏の発言を取り上げ、「日本側も棚上げ論に同調していた」と強調しはじめた。

  同問題の処理については、中国共産党や軍内部でも意見が統一されていない可能性があり、中国側の今後の出方にも紆余曲折があると考えられる。ただし、少なくとも中国内部でかなり大きな勢力が、同問題の“目下の落としどころ”を探りはじめたと見てよさそうだ。

  なお、中国新聞社は、菅義偉が「野中発言」の当日の3日に、尖閣諸島の問題について「棚上げが共通認識との事実はない」と述べたこともあわせて報じた。

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◆解説◆

  野中氏の発言について岸田文雄外相は4日午前の記者会見で「わが国の外交記録を見る限り、そういった事実はない」と述べ、「棚上げは日中双方が合意」の言い方を否定した。

  日本側の記録によると、日中国交正常化のために訪中した田中角栄首相の方から周恩来首相に「尖閣諸島についてどう思うか」と尋ねたところ、周首相は「尖閣諸島問題については、今回は話したくない。今、これを話すのはよくない。石油が出るから、これが問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない」と回答した。

  1978年の日中平和友好条約締結の交渉に際して、トウ小平副首相(当時)は「今回のような会談の席上に持ち出さなくてもよい問題である。園田外務大臣にも北京で述べたが,われわれの世代では知恵が足りなくて解決できないかもしれないが,次の世代は、われわれよりももっと知恵があり、この問題を解決できるだろう」と発言した。日本側の福田赳夫首相は、応答しなかった。

  上記の外務省記録によれば、日本側が中国に対して「棚上げ論」を容認する言質を与えたとは認められない。言えることは、中国側の「棚上げ論」またはそれに準じる発言に対して、正面からは反論していないことだけだ。つまり、「尖閣諸島は日本の領土だが、中国側が『棚上げ論』を展開すること自体には干渉しない」ということになる。

  一方の中国は、日本側が「棚上げ論を黙認した」と解釈したことになる。日本は、尖閣諸島の開発などを行わなず、日本人の上陸も基本的に認めないなど、中国側の事情に配慮しつづけてきたと言ってよいだろう

  「棚上げ論」の是非の論議は別にしても、「棚上げこそが、日中関係の大局を損なわないための先人の知恵」と主張するならば、その「知恵」を無駄にしないためには、尖閣諸島の問題で「騒ぎを起こさない」ことが最も大切であるはずだ。

  同問題については、中国の強硬な言動が目立った。中国側は問題を大きくしたのは石原都知事による都の買い上げ構想や国有化と主張しているが、2009年の漁船衝突事件の際には、中国国内の日本人の身柄拘束までした。さらに2013年になってからは、中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に照準用のレーダーを照射するという、「武力攻撃1歩手前」の行為までした。

  中国は改めて、「棚上げ論」を主張するようになったが、それまでの間、自らが「先人の知恵」と評価する「棚上げ論」を無力化しかねない言動をかなり繰り返した。(編集担当:如月隼人)

尖閣「生き証人」のうさん臭い告白

2013.6.6 08:28 [鳩山由紀夫]

 野中広務元官房長官と鳩山由紀夫元首相の姿が、ぴたりと重なってみえる。尖閣諸島(沖縄県石垣市)を「侵略しに来ている」(外務省幹部)中国へと、のこのこ出かけ、相手の意向に沿った発言をするところなど、そっくりである。

 「自民も民主もOB議員によるOB(コース外にそれた打球)には本当に困りもの。OB杭(くい)の向こう側には、巧妙な外交的落とし穴が隠されているのだ」

 民主党の長島昭久氏は4日、自身のツイッターにこう書き込んだ。尖閣諸島をめぐり「領有権問題棚上げの日中合意があった」と発言した野中氏と、「日中間の係争地」と述べた鳩山氏を指すのは明らかである。

 論点はそれぞれ違うが、ともに日本政府の公式見解を否定し、自ら進んで中国のわなに飛び込んだ形だ。

 思えば鳩山氏は今年1月、南京大虐殺記念館を訪ねて改めて謝罪した。これも平成10年5月、自民党幹部(幹事長代理)として初めて公式に同館を訪問した野中氏と軌を一にする。

 「当時のことを知る生き証人として、明らかにしたいという思いがあった」

 野中氏はこう語るが、どうもうさん臭い。野中氏によると、昭和47年9月の日中国交正常化から間もないころ、箱根で開かれた自民党田中派の研修会で田中角栄首相(当時)から直接聞いたことだという。

 だが、現職の首相だった田中氏が、当時は一介の京都府議だった野中氏(衆院初当選は58年)らに重大な「国家機密」を漏らすだろうか。研修会で語られた話が、今回の証言まで一切表に出なかったというのもあまりに不自然ではないか。

 筆者は、野中氏が自分の主義・主張を通すために論点を誇張したり、事実関係を無視したりする場面を何度も見聞きしてきた。

 「君らと違い、戦争を知る世代として言うが…」

 野中氏は現役時代、若手政治家らの外交・安全保障に関する自由な議論を、この一言で封じてきた。

 2001年の米中枢同時テロに際し、海上自衛隊のイージス艦派遣が浮上した際には、講演や派閥(橋本派)会合などで強硬に反対論陣を張った。これについて閣僚経験者は振り返る。

 「野中さんは1隻約1200億円のイージス艦を『5千億円する』と言ったり、『戦前の戦艦大和に当たる』と言ったり、めちゃくちゃだった。イージス艦は対空探知能力、自己防衛能力に優れている以外は他の艦船と変わらない」

 また、その後に自衛隊が首相官邸や原発など重要施設を警備できるようにする自衛隊法改正が検討されたときには、「警察への侮辱だ」「国民に銃を向けるのか」などと非論理的な感情論で、これをつぶした。

 自民党幹部は「野中さんにはあの世代特有の、社会党的、情緒的な平和主義がある」と指摘する。だが、米国の核の傘の下で安穏としていられた冷戦期ならばともかく、現在の厳しい国際情勢では通用しない。

 第一、棚上げするも何も、中国は国交正常化から20年後の1992年に施行された領海法で、尖閣諸島を新たに自国領と明記した経緯がある。この時点ですでに「棚上げ論」は、歴史的にも政治的にも完全に破綻しているではないか。(政治部編集委員)

では、野中広務氏の言う「棚上げ論」の根拠となっ日中国交正常化交渉でどのような発言があったか。
以下に2つの記事を引用。

その上で、「中国側との間で、棚上げや現状維持で合意した事実はないし、棚上げすべき問題も存在しないのが政府の公式的な立場だ」と真っ向から否定した。外相・岸田文雄も「わが国外交の記録を見る限りそういった事実はない 」と否定した。

そもそも「棚上げ」という言葉は、72年の首脳会談からかなり後に中国側が使い始めたものであり、顕著な例がトウ小平の発言だ。

トウ小平は1978年に日本記者クラブにおける会見で「一時棚上げにしてもかまわないと思います。10年棚上げにしてもかまいません。我々の、この世代の人間は知恵が足りません。次の世代は、きっと我々よりは賢くなるでしょう。そのときは必ずや、お互いに皆が受け入れられる良い方法を見つけることができるでしょう」と発言している。

従って田中・周会談で出る言葉ではない。岸田が述べる「我が国外交記録」でも全くその発言はない。外務省の記録はねじ曲げられているという学者がいるから、中国側の資料を紹介する。

首脳会談に同席した中国外交部顧問・張香山の回想記は次のようなやりとりを紹介している。会談の最後の場面で田中が切り出した。

田中:一言言いたい。中国の尖閣列島に対する態度如何をうかがいたい。

周恩来:この問題について今回は話したくない。今話しても利益がない。

田中:私が北京に来た以上提起もしないで帰ると困難に遭遇する。今私がちょっと提起しておけば彼らにも申し開きが出来る。

周恩来:もっともだ。そこは海底に石油が発見されたから、台湾はそれを取り上げて問題にする。現在アメリカもこれをあげつらおうとし、この問題を大きくしている。

田中:よしこれ以上は話す必要がなくなった。またにしよう。
周恩来:またにしよう。いくつかの問題は時の推移を待ってから話そう。
田中:国交が正常化すればその他の問題は解決出来ると信ずる。
 

この会談で特筆すべきは田中が冒頭で筆者に語ったように、自民党右派や右翼の動きを気にしていることだ。「私が北京に来た以上提起もしないで帰ると困難に遭遇する。今私がちょっと提起しておけば彼らにも申し開きが出来る」と述べたと言うことの意味は、国内対策で一応触れただけと言うことであろう。従って「棚上げで合意」を目指したような大げさなものではさらさらない。

折から中国は人民解放軍の副総参謀長・戚建国が2日尖閣問題の棚上げを主張しており、野中はこうした中国側の意向を「忖度(そんたく)」して「死人に口なし」発言を“ねつ造”した感じが濃厚である。政府筋も「中国に都合がよいように言わされているだけだ」と指摘している。

野中は帰国後も「私は今回のことを言うために中国に行ったのであって、撤回などしない」と強弁。中国に利用されたという指摘に対し、「利用されたくないし、中国の人も利用しようとは決して思っていない」と発言した。

しかし検証すればするほど、怪しげな姿が浮かび上がってくることは否めない。京都府議レベルよりも田中に格段に近かった筆者も「絶対なかった」と断言しておこう。

杉浦正章(政治評論家)<2013年06月05日

田中総理: 尖閣諸島についてどう思うか?私のところに、いろいろ言ってくる人がいる。

周総理: 尖閣諸島問題については、今回は話したくない。今、これを話すのはよくない。石油が出るから、これが問題になった。石油が出なければ、台湾も米国も問題にしない。
 国交正常化後、何カ月で大使(館)を交換するか?

大平大臣: できるだけ早く必要な措置を講じていくが、共同声明のなかに、何カ月以内にとは書けない。もし1日でもたがえたらよくないことだからだ。総理と私とが中国を訪問した以上、2人を信用してもらって、できるだけ早く大使の交換をやるということで御了承願いたい。

周総理: 「できるだけ早く」で結構だ。お2人を信用しましょう。

田中総理: 相互信頼が大事だ。だから、日本に軍国主義が復活するとか、侵略主義が復活するとか考えないよう願いたい。

周総理: 私は日本の社会党より、ひらけている。社会党は「非武装」をやかましく言うから、日本が自衛力をもつのは当然ではないかと言ってやった。

田中総理: それはどうも。

周総理: 我々は、インドシナ問題を第一に、台湾問題は第二に考えている。台湾解放は中国の国内の問題だから、しばらく後でもよいと思う。

データベース『世界と日本』/田中総理・周恩来総理会談記録より

さて、皆様はどう受け止めるでしょうか。